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評価を能力開発と密接にリンクさせるならば、評価すべきことは能力開発可能な思考と行動に限定されるべきである。 能力開発型の人事評価は、結果の数値だけを見るのではなく、成果を出すために必要なスキルや思考、行動などのプロセスを評価して、欠けている部分を能力開発していくことなのである。
では、多くの企業が導入している成果主義評価制度は、なぜ能力育成型の評価制度として、企業と従業員の鮮にはなりえないのだろうか。 多くの問題を抱える成果主義を検証することで、日本企業に必要な評価制度を考えてみる。
成果主義の目的は、成果に応じて正当に評価し、処遇することである「○○経営者は業績不振を理由に、人件費の柔軟性やコストダウンを目的として成果主義を悪用した。 その結果、評価の対象がきわめて短期的となり、しかも具体的な数値目標を求めるようになった。
なるほど、営業などの期間ごとに数値目標で評価される職種のなかでは、優秀な社員は成果主義によってモチベーシヨンが上がったかもしれない。 また、会社に対する帰属意識も短期的には高まったかもしれない。
コストダウンを目的とした成果主義は、長期的な視野で成果を図らなければならない職種や、数値目標だけでは評価できない職種にまで、短期的な数値目標を従業員に強いるようになった。 研究や開発部門では、長期的な視野に立ってテーマに取り組んでいかなければ競争優位な製品開発はできない。
成果主義の導入により、皆が短期的な目標で、しかも結果の出やすい安易なテーマを選ぶようになれば、会社の製品競争力は徐々に削がれていく。 また、チームワークを考えず、自分の目標を第一に考えれば、組織としての業績はかえって悪化してしまう。
本来の意味を取り違えた成果主義の導入は、企業の競争力を削ぎ落とし、社内に混乱を引き起こしている。 現在、日本で導入されている成果主義は、カネと地位を与えることで優秀な社員に報い、会社に引きとめようとしている。

たしかにカネや地位は、従業員の動機づけになる。 これまでの人事制度は、早く出世し、多額の報酬を望むことを全員が望んでいることを前提につくられていた。
価値観の多様化により、社内の出世や一時の金銭報酬よりも、仕事と生活のバランスを考え、自己実現が可能となる環境を従業員は望むようになってきている。 現在の成果主義は、旧日本的経営の感覚を持った経営者の発想である。
終身雇用という根幹を変えながら、制度の考えは旧来どおりではうまく機能するはずはない。 このような従業員のモチベーシヨンの読み違えが、人材流出につながっていく。
数値目標に基づいた結果主義であり、人材育成の機能を果たしていないこれまでの日本の人事評価制度は、「高い潜在能力を保有している従業員は、難易度の高い業務を遂行できる」という前提で設計されていた。 さらに進んで、「高い潜在能力を有していれば、より高い結果を出すことができる」であろうというのが、日本の成果主義の考え方なのである。
ここで問題となるのは、高い能力の基準が学歴、知識、資格、勤続年数であることだ。 高度な専門性を求めない業務ならば、資格や勤続年数などの属人的な能力で十分だったかもしれない従来の属人的な能力では、現在の高度な専門性を求められる業務要件をこなせなくなっている。
求められている能力と、業務要件との間にギャップが生じつつあるのだ。 有名大学を出ていても使えないとレッテルを貼られる社員はいくらでもいる。
反対にそれらの資格や学歴を持たなくても高い成果を上げる従業員は多い。 これまで高い能力の証であると考えられてきた資格や学歴が、必ずしも高い結果に結びつくとは限らないのだ。
さらに問題は、高い潜在能力を保有していれば、だれでも同じように高い結果を出せると勘違いしていることである。 高い能力の保有イコール高い結果ではないのだ。
高い結果を出すために必要な、もう一つの能力を見落としているからだ。 潜在能力と成果の間にある。

プロセス。 という能力である。
そのことに人事部も経営者も気づいていないまま、成果主義を運用していることが不幸な事態をもたらしているのである。 潜在能力から高い結果を求めるならば、成果に至るまでのクプロセスクを能力開発として運用していかなければならないプロセス育成型評価制度が従業員のマーケット・アビリティを高めると言った理由はここにある。
プロセスは高い成果を出すための行動規範であり、さらにだれにでも習得可能で、どこでも必要とされる能力だからである。 正しいプロセスを学ぶことによって、行動や思考の改善と成果の再現性が可能となる。
自分の取ったプロセスと高い業績を上げている人のプロセスとの違いを比較することで、自分に足りなかったスキルや行動を自覚し、改善できる。 また、正しいプロセスを学ぶことで、同じ成果を再現できる。
職務をこなすために必要な能力たとえば、有能な営業マンは、顧客リストのなかから自社製品で解決できる問題を抱えた顧客に絞って訪問計画を立てる。 製品説明をする前に、十分な製品知識と競合他社との比較表を作成して、自社の優位性を説明できるように準備する。

やみくもに顧客訪問を繰り返していた営業マンは、この優れた営業マンの行動から、顧客の問題点の事前調査や競合他社との比較によって成果を出すための必要なプロセスを学ぶ。 このプロセスを何度も再現することで、有能な営業マンに育っていくのである。
私たちは会社のなかで、プロセス主義を無意識に行っている。 新入社員が仕事を覚える際には、直属の先輩や上司の仕事のやり方を真似ようとする。
会社に入社した当時、私も先輩から。 仕事は習うより盗め。
と言われたものだ。 無意識のうちに、有能な先輩が行っている仕事のプロセスを真似ながら、仕事のやり方と効率的な業務のこなし方を学んでいく。
プロセスに重点を置くのは、問題解決能力を身につけ、プロフェッショナルな人材を育成するためである。 プロフェッショナルとアマチュアの違いは、同じ成果を何度も出せるかどうかである。
たまたま訪問したお客様が、自社の製品で解決できる悩みを持っていて、大きな売上げにつながったとしても、同じ幸運が続くとはかぎらない。 コンスタントに契約を取ってくる社員は、成功するプロセスを習得し、結果を何度も再現することができるのだ。
プロセスを共有することは、価値観を共有することでもある。 企業は独自のビジョンやミッションを持っている。
その企業理念を実現するために企業戦略を立て、必要なプロセスをつくっていく。 業務を通じて正しいプロセスを学んでいくことで、自分の考えや行動をプロセスに合わせていく。
それは、業務を通じて価値観を共有していくことだ。 G社では業務のなかでシックスシグマを習得することが価値観の共有となる。

T自動車では生産工程のなかで改善プロセスを習得することが価値観の共有になる。 企業が取り入れている結果や数値目標のような成果主義ではなく、プロセスに重点を置いた評価制度を取り入れた。
指示されている。 ラインを止めれば生産性が下がるし、他の部門にも影響を及ぼす。
そのリスクを冒してまでも、生産工程における。 改善を重視する。
「品質は工程でつくりこめ」というトヨタの思想を体現している。 目的としている。

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